WOZNIAK - Solution

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DALLJUB STEP CLUBやOUTATBERO、HABITといったバンドのメンバーとして知られ、マシンテクノの可能性を追求するTESTAV名義でも活躍中のYuta Hoshiによるソロ・バンド・プロジェクト、WOZNIAKのセカンド・アルバム『Solution』がcatuneから5/3にドロップされる。2013年はGreeen Linez、sauce81、Sorcererの作品を通してアーリー90’sなエレクトロ・ファンクやシンセ・ブギー、バレアリック/ニューディスコまでを自在に横断してきたcatuneが、レーベル黎明期に牽引した国内のポストロック・シーンを出自とするWOZNIAKの新作をこのタイミングでリリースすることには、懐古主義とは全く別の意味合いがある。

WOZNIAKは、大局的にはすでに飽和状態にあったポストロック・シーンに生まれながら、バンド・サウンド/生演奏にこだわったテッキーなグルーヴの進化に理想を求め、昨年にはストイックなミニマル・テクノ/ハウス路線へ大きくシフトしたファースト・アルバム『Effects And Nice』を自主レーベル=77ROMANCEより上梓。ナイト・クラビングにどっぶりと浸かっていたHoshiが、Basic Channel~Rhythm & Soundからベルクハインやオストグッド・トンに連なるベルリン・ミニマルのラインとポストロックを思わぬ形で繋いだミッシングリンクとなった。

彼が全6トラックの作曲/演奏を手掛けた今回のアルバムでは、シンセ、ギター、ベース、生ドラムなどの生楽器が全面に使用されているものの、そうした迂回によって獲得された音に対するアーキテクチュラルなアプローチ、ジャーマン・ミニマルとバウハウスの親和性の高さを想起させるようなサウンド・デザインが、バンド回帰を凡庸なダンス・ロックとは異次元のアートへと昇華させている。

垂れ込める暗雲のようなシンセの羽音が黙示録的な始まりを告げるSE「Cell」に続き、突如シンプルなキットから弾き出されるビートがHoshiのドラマーとしての魅力を伝える「Morphling」で『Solution』は大胆なスタートを切る。こちらは巧妙に配されたシャープなカッティングとアンセミックなシンセのメロディーがヘルツォーク&ド・ムーロンの巨大建築のように発展/解体していく1曲で、前作の収録曲「TTT pt.1」のエピソード0にあたるナンバーでもあるという。構成面でBATTLES「SZ2」の影響を受けているというシネマティックな「Heptagon」(=七画)では、絶妙にチューニングされた7拍子のブレイクビーツを軸に錯視的なポリリズムとアルペジオがレイヤーされ、終盤に飛び交うエモーショナルなフィードバック・ギターや躍動感のあるベースラインとの有機的なコントラストを生んでいる。静謐なダークアンビエント「World」を挟み、URからデトロイト経由でネオ・インダストリアルへと接続するノイジーなハード・ミニマル「Less is more」(ミース・ファン・デル・ローエ!)が、6トラック中最速となるBPM140のイーヴンキックとアグレッシブかつ多彩な音の粒子の交配で、アルバム全体のテンションを一段と高いものとしている。RADIANやTRAPISTあたりの音響を思わせるアウトロ「2/15」の余韻が静かな幕引きを担うラストまで、『Solution』はリスナーに1枚を通してのリスニングを求める作品と言えるだろう。

なお、WOZNIAKはサポート・メンバーを迎えて5月10日よりライブ活動を再開、早くも次作の制作に取り掛かる予定となっている。本作で提示されたソリューションの先にどのような世界が待ち受けているのか、しばらくは我々の興味が尽きることはなさそうだ。

Greeen Linez - Landscape / House Of Seven Joys EP

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Greeen Linez is a collaboration between Chris Greenberg (from the British electronic pop band Hong Kong In The 60s) and UK-born/Tokyo-based DJ/producer A Taut Line (aka Matt Lyne, co-founder of the Diskotopia label). The project combines the ‘90s dance music and R&B that soundtracked Chris and Matt’s childhoods with the ‘70s/’80s jazz-funk and synthesizer soundtracks that they have obsessed over in the years since. All of this is filtered through the cocktail of retro pop, fusion and supermarket muzak that Matt has been exposed to during his time in Japan.

Their debut album Things That Fade was released in summer 2012 on Diskotopia, receiving positive reviews in The Wire, DJ Mag and FACT, as well as support from DJs and producers such as Julio Bashmore, Hyetal and Magic Touch - the last-named has also recently collaborated with the duo for his Nothing More EP, to be released in November on Tensnake’s label True Romance. Besides their own music, Greeen Linez have also produced well-received remixes for artists including Seahawks, Maylee Todd, Sorcerer and the Japanese Idol group Especia.

The Landscape EP is the first appearance of Greeen Linez on the popular Japanese label Catune, run by 9dw’s Kensuke Saito and home to Disco, Balearic and New Age-tinged releases from such artists as Windsurf, Sorcerer, The Beat Broker and Sauce 81. The title track features Ichirou Fujimoto (under his Awa moniker) on guitar, following on from his collaboration with Greeen Linez on their 2012 album track “Knowledge”, as well as work on popular Japanese DJ duo Monkey Timers’ debut single “Monk”. A2 is Awa’s own take on the title track, stripping away the kalimba, guitar and saxophone to create a deep, floaty synth bass-driven dancefloor hit that evokes the works of Larry Heard. On the flip side, the Electro-Funk number “House Of Seven Joys” recalls the pristine production sound of Trevor Horn, whilst the duo’s own Dance Mix ups the track’s pace to that of a house stormer, ploughing energetically through the accompanying birdsong and natural textures.

 ディスコ、ハウスからLAのノット・ノット・ファン/100%シルクに代表されるインディ・ダンス・シーン、日々進化を続けるベース・ミュージックまでをも視野に入れた音楽のクロスオーバーを実践している新興レーベル、DiskotopiaとサブレーベルのA Kind Of Presence。その主催者であり、英国ケンブリッジ出身にして東京在住のマット・ラインと同郷のエレクトロニック・ポップ・バンド、ホンコン・イン・ザ・60sで活動を行っているクリス・グリーンバーグが幼少期に夢中だった70~80年代のジャズファンクやシンセサイザー・サウンドトラックの音楽体験をベースに、70年代後半~80年代の日本産フュージョンやシティ・ポップに特にマットが強い関心を持ったことから始まったプロジェクトがグリーン・ラインズだ。

 昨年7月にリリースしたファースト・アルバム『Things That Fade』はフュージョンやシティ・ポップをアップデートしたクリスタルなシンセ・ファンクがニュー・ディスコやバレアリック・リヴァイヴァル、ブギー再評価の流れとも共鳴し、DJ MagやThe Quietus、The Wireといった世界的な音楽メディアでも高評価を獲得。その後はシーホークス「Oceans Of Space」や日本でFMヒットを記録したメイリー・トッド「Baby’s Got It」、大阪のアイドル・グループ、エスペシア「海辺のサティ」のリミックスを手掛ける一方、A Kind Of Presenceからソーサラー「The Island Rescue EP」をリリースするなど、彼らの作品とコネクションは着実に広がりを見せている。

 そうした流れを受けて、グリーン・ラインズの新作「Landscape EP」が9dwこと斎藤健介主宰のレーベル、catuneから登場する。ディスコやブギー、バレアリックやニューエイジなシンセサイザー・ミュージックにシンパシーを寄せるソーサラーやウインドサーフ、ビート・ブローカーといったアーティストの作品を多数リリースしてきたcatuneのレーベル・カラーに新たな色を加える本作は、Aサイドのタイトル・トラックに人気DJデュオ、Monkey Timersのデビュー・シングル「MONK」にもギターほかで参加しているAWAことふじもといちろうをフィーチャー。からみつくようなベースラインが印象的なロービートの上で浮遊するシンセサイザーのレイヤーの間に間にサックスやギター、カリンバが現れては消えるA1のオリジナルに対して、Awa Versionと題されたA2ではシンセ・ベースのうねりがディープチルなゾーンに誘う、ラリー・ハードばりにクールなダンストラックを展開。一方のフリップ・サイド「House Of Seven Joys」は、トレヴァー・ホーンのプロダクションやコンパスポイント・サウンドを想起させるB1のシンセティックなエレクトロ・ファンクから、そのダンス・ヴァージョンであるB2ではテンポをぐっと上げ、彼方で鳥のさえずりがこだまするネイチャーなサウンド・テクスチャーを力強いハウストラックが切り開いてゆく。なお、彼らは100%シルクからの作品リリースで知られるマジック・タッチことデーモン・パレルモの新作「The Nothing More EP」に共作で参加。ドイツの人気プロデューサー、テンスネイク主宰の新レーベル、True Romanceより11月リリースを予定している。

sauce81 - All In Line / I See It EP

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Since the late two thousands, the internet and social network has allowed musician to communicate internationally, and the main language shared to overcome the barriers have been instrumental music. Crossing borders, blending genres, exchanging infos to files to ideas, sauce81 has gradually transformed his style and brought up his originality. Nobu Suzuki aka sauce81 is one of Japan’s new generations who is getting attention internationally.  

Spending his youth years in Georgia(US), he started his music career as a guitar/vocalist after he came back to Japan when he was 12 years old. Being inspired by Hip Hop, Jazz, Funk, Soul, World Music, Electronica and beyond, he starts making beats when he was in University. In 2008, he was invited to Red Bull Music Academy in Barcelona(ESP), having recording sessions with Nino Moschella, Onra, Dorian Concept and many more. His music has been included in many compilations from “Absolute!! Sounds From Tokyo”, “Maverick Sessions Two”, “Benefit Compilation For Japan” to “LA♥JPN♥LA”, and supported Onra, Pursuit Grooves, Teebs and many more on their Japan tours. Also known for his quality remixes for TOKiMONSTA, Julien Dyne, Logic System and Ovall. Since 2009 he started Cosmopolyphonic Radio with Kez YM and RLP, introducing up and coming Japanese producers to the world, and international talent to Japan and the rest of the world, cultivating and stimulating the underground music scene.

Following his “Fade Away E.P.” released on Jazz/Crossover DJ Kenji Sakajiri’s WONDERFUL NOISE label in February 2013, second 12” single is coming out on catune. A.1 ‘All in Line’ is a slomo-disco-funk track, reminiscent of early works of Henrik Schwarz, with a groove from his experience being in a gospel choir. This track gets a remix treat by Ken Sumitani aka STEREOCiTI who is known for his EPs and album “Kawasaki” released in 2011 on German label Mojuba. The remix is a deep house track for the floor with atmospheric synthesizers and percussions using the original vocal phrase. On side B, ‘I See It’ is a modern electric funk with his own vocals, sophisticated electric piano and funky bass lines that would warm up the dark floor. This one gets a Chicago-ish new school house style remix by Belgium producer San Soda, known for his stunning releases on WE PLAY HOUSE and FCL ‘It’s You (San Soda’s Panorama Bar Acca Version)’ licensed to Defected. 

On the other hand, a debut album that’s not a dance music approach is planned to be released on journalist and dublab.jp’s Masaaki Hara’s label disque corde

 SNSを通じて、音楽家の国際交流が活発化している2000年代後半以降の音楽シーンにあって、その主要な共通言語はインストゥルメンタルなビート・ミュージックだ。国境を越え、ジャンルを横断しながら、トラックのデータやアイディア、情報をやり取りし、刻々とその意匠を変化させながら、核となる個性を浮かび上がらせている日本の新世代プロデューサーのなかでも、国内外で注目を集めつつあるのがsauce81こと鈴木信之だ。

 幼少期を米国ジョージア州で過ごした彼は、ギター/ヴォーカルとしてのバンド活動を皮切りに、ヒップホップ、ジャズ、ファンク、ソウル、ワールド・ミュージック、エレクトロニカといった様々な音楽の影響を受けながら、大学時代よりビート・メイクをスタート。2008年にスペインはバルセロナで行われたRed Bull Music Academyに参加し、Nino Moschella、Onra、Dorian Conceptらとレコーディング、セッションを敢行。その後、『Absolute!! Sounds From Tokyo』や『Maverick Sessions Two』、『Benefit Compilation For Japan』、『LA♥JPN♥LA』といったコンピレーションへの楽曲提供を行ってきた彼は、Onra、Pursuit Grooves、Teebsなどの来日サポート、TOKiMONSTAやJulien Dyne、Logic System、Ovallなどのリミックスを担当。さらには2009年よりKez YM、RLPと共に、日本のプロデューサーを海外に、海外のプロデューサーを日本に紹介するポッドキャスト<cosmopolyphonic radio>をスタートし、シーンの活性化にも尽力してきた。

 そんなsauce81が、ジャズ~クロスオーバーDJの坂尻憲司氏が主宰するレーベル、WONDERFUL NOISEより2013年2月に発表した「FADE AWAY E.P.」に続く、セカンド12”シングルをcatuneよりリリース。初期のヘンリク・シュワルツを彷彿とさせるA.1「All in Line」は、かつてゴスペル・クワイアにも参加していたこともある彼のルーツがグルーヴににじむスローモーなディスコ・ファンク・トラック。独Mojubaよりリリースしたシングルや2011年のアルバム『Kawasaki』がヨーロッパを中心に高く評価されている日本人ハウス・プロデューサー、STEREOCiTIことken sumitaniが担当したそのリミックスA.2は、オリジナルのヴォーカル・フレーズを用いながら、アトモスフェリックなシンセサイザーとパーカッションを活かしたフロア向けなディープ・ハウス・トラックに仕上がっている。一方のB.1「I See It」は、自らのヴォーカル・ワークと洗練されたエレクトリック・ピアノを交えながら、ファンキーなベースがフロアの温度を上げるモダンなエレクトリック・ファンクを展開。そのリミックスB.2は、Defectedからのリリースも話題になった、WE PLAY HOUSE所属のベルギー人プロデューサー、San Sodaがシカゴ・マナーのニュースクールなハウス・トラックへと仕立てあげている。

 なお、sauce81は、音楽ジャーナリストにして、dublab.jp主宰の原雅明氏によるレーベル、disque cordeよりデビュー・アルバムのリリースが予定されており、ダンス・フロアへ歩み寄った本作とは別のアプローチの作品になりそうだ。(text by Yu Onoda)